2月の精進料理

「ふきのとう」
ふきは菜と花が別に出る雌雄異株の宿根草です。ふきのとうは、ふきの花の蕾で、雄花は黄白色で大きなうろこ状の苞に包まれた頭状花です。春浅く雪の下から野や山に生え、ほろ苦さと芳香を楽しませるものです。冬眠から覚めた熊が、真っ先に食べると言われています。そのほろ苦さの成分は、胃の薬となるもので、食卓にふきのとうが並びますと日毎食が進むようになります。
また、咳止め、痰きり、肝臓、健胃などに良いと言われています。ふきのとうを春先に大量に求めておき、天日に干して保存し、それを苦過ぎない程度に煎じて飲んだり、料理に使用しますと、知らず知らずのうちにその効果を受けます。また、根は解毒の効果があるものとして昔から利用されています。
含有成分としては、カルシウム、ナトリウム、リン、鉄、ビタミンA・B1・B2・C、ニコチン酸等が含まれています。
採取の仕方は、開ききっていないつぼみを、地ぎわから指でちぎり取るのが良いでしょう。
調理法としては、外側の汚い苞を取り、一つまみの塩を入れて茹で、冷水にさらし、あく抜きをしてから料理します。このような山菜類は、取りたてをいち早く調理する事がうまみをひき出す秘訣です。
それでは、何点かの「ふきのとう」を使った料理ご紹介いたします。

「ふきのとうご飯」
ふきのとうは、熱湯をくぐらせ、水にさらしてから、細かくきざみ、多めの塩をまぶし、炊き上がりのご飯によく混ぜ合わせていただきます。
また、塩のかわりに、味噌をふきのとうと一緒にたたき、それをご飯に混ぜ合わせても、風味がぴったりとしておいしくいただけます。その他、ふきのとうは、煮びたし、油いため、佃煮、胡麻和え、酢味噌和え、みじん切りにして汁の実、薬味などいろいろ春一番を楽しめます。
「ふきのとうの酢漬け」
ふきのとうは、あく抜きしたものを、水切りにしておきます。
酢、みりん、砂糖、醤油少々、だし汁で好みの味付けをして、準備したふきのとうを加え、供します。好みで唐辛子の種をむき、細かく輪切りにして加えるのも宜しいでしょう。
「ふきのとうの味噌煮」
ふきのとうは、ひとゆでしたものを水にさらし、水切りをして、細かく切ります。鍋に胡麻油を入れて、熱してから準備したふきのとうを入れて、炒めます。みりん、味噌、砂糖少々を加え味を調え、弱火で炒め煮します。酒の肴としても最高です。
-金丸宗哲[著] 「和尚の健康精進料理」・平河出版社-